物価上昇で家計はどう変わった?基礎控除の引き上げ・「年収の壁」178万円と手取りへの影響をFPがわかりやすく解説

「スーパーでの買い物の金額が、前より明らかに増えた」「給料は少し上がったのに、生活は楽にならない」
ここ数年、こう感じている方は多いのではないでしょうか。一方で、物価上昇に合わせて所得税の控除(人的控除)が引き上げられるなど、税金のルールも変わってきています。この記事では、物価上昇が暮らしに与えている影響と、税制改正や特例措置によって家庭の手取り(可処分所得)がどう変わるのかを、ファイナンシャルプランナー(FP)がわかりやすく解説します。
ここ数年の物価上昇はどれくらい?
総務省の消費者物価指数(総合)は、長く横ばいが続いていましたが、2022年から上昇に転じました。前年比で2022年は2.5%、2023年は3.2%、2024年は2.7%、2025年は3.2%と、4年続けて2〜3%台の上昇が続いています。2026年9月も2.1%の上昇でした。
毎年の上昇率は小さく見えても、積み重なると大きな差になります。2021年と比べると、同じ暮らしをするのに1割以上多くのお金が必要になっている計算です。特に食料品や電気・ガス代など、毎日の生活に欠かせないものの値上がりが家計を直撃しています。給料の伸びが物価の上昇に追いつかず、物価を考慮した「実質賃金」が前年を下回る時期も長く続きました。
人的控除の引き上げとは?
所得税は、収入から一定の金額を差し引いた残りにかかります。この差し引く金額のうち、本人や家族の状況に応じて受けられるものを「人的控除」といい、すべての人が受けられる「基礎控除」や、配偶者控除・扶養控除などがあります。控除が大きくなるほど、税金のかかる所得が減り、手取りが増えます。物価が上がっているのに控除の金額が変わらないと、実質的な税負担が重くなってしまうため、見直しが進められています。
どう変わった?2025年・2026年の主な改正
2024年:定額減税(1回限りの特例措置)
物価高への対応として、2024年には本人と扶養家族1人あたり所得税3万円・住民税1万円を差し引く定額減税が行われました。ただし、これは1回限りの措置でした。
2025年分:基礎控除と給与所得控除の引き上げ
所得税の基礎控除が48万円から58万円に引き上げられ、所得の低い方には上乗せ(特例)も設けられました。会社員の給与所得控除の最低額も55万円から65万円に上がり、所得税がかからない給与収入の上限(いわゆる「年収の壁」)は103万円から160万円になりました。家族を扶養に入れられる収入の目安も、103万円から123万円に上がっています。
2026年分から:「年収の壁」が178万円に
2026年分からは、基礎控除の本則が58万円から62万円に、給与所得控除の最低額が65万円から69万円に引き上げられます。さらに2026年分・2027年分の特例として上乗せがあり、所得税がかからない給与収入の上限は178万円になります。また、基礎控除などは今後、2年ごとに物価の上昇率に合わせて見直す仕組み(物価スライド)も取り入れられました。今回の62万円は、2023年11月〜2025年10月の物価上昇率6.0%をもとに決められています。
手取りはどれくらい増える?物価上昇とのバランス
控除の引き上げで、所得税は確かに軽くなります。ただし、税率5%の方が控除で4万円増えた場合、減る所得税は年間2,000円ほどです。所得や家族構成によって差はありますが、多くの一般家庭では減税額は年に数千円から数万円程度にとどまります。
一方、物価が年に3%上がると、生活費が月30万円の家庭では年間で10万円以上支出が増える計算になります。また、今回の基礎控除の引き上げは所得税が中心で、住民税は所得税ほど軽くなっていない点にも注意が必要です。こうして比べると、控除の引き上げだけで物価上昇による負担増を埋めるのは難しい家庭が多いのが現実です。
家計を守るために今できること
- 固定費を見直す:通信費や保険料、サブスクリプションなど、毎月決まって出ていくお金は、一度見直すと効果が長く続きます。
- 「年収の壁」が上がったことを働き方に生かす:パートやアルバイトで収入を調整していた方は、税金のかからない範囲が広がっています。ただし、社会保険の「106万円・130万円の壁」は別のルールなので、あわせて確認しましょう。
- お金を「預金だけ」にしない:物価が上がると、預金の価値は実質的に目減りします。使う時期に合わせて、NISAなどを使った長期の資産運用も検討しましょう。
- 受けられる控除や制度を漏れなく使う:年末調整や確定申告で、受けられる控除を申告し忘れていないかを確認しましょう。
まとめ:税制の変化を知って、家計の見直しにつなげる
ここ数年の物価上昇に対して、基礎控除の引き上げや「年収の壁」の見直しなど、税金の面でも対策が進んでいます。ただし、その効果だけで生活が楽になるとは限りません。制度の変化をきっかけに、家計や働き方、お金の置き場所を一度見直してみましょう。「わが家の手取りはどう変わる?」「家計を見直したい」と思ったら、ホームページのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
※本記事は2026年11月8日時点の情報に基づく一般的な解説です。減税額などは目安で、所得や家族構成により異なります。個別の税額については、税理士または税務署にご確認ください。
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