株式の配当金にかかる税金と3つの課税方式の違い|総合課税・申告分離課税・申告不要をFPがわかりやすく解説

「配当金をもらったら、確定申告は必要?」「申告したほうが得なの?」
株式の配当金にかかる税金は、どの課税方式を選ぶかによって負担が変わることがあります。さらに、申告するかどうかで、住民税や国民健康保険料にも影響が出る場合があります。この記事では、配当金の3つの課税方式の違いと選び方を、ファイナンシャルプランナー(FP)がわかりやすく解説します。
配当金にかかる税金の基本
上場株式の配当金は、受け取るときに20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が差し引かれます(源泉徴収)。たとえば配当金が10万円なら、手元に入るのは約8万円です。この税金の扱い方として、次の3つの課税方式から選ぶことができます。
3つの課税方式の違い
1. 申告不要制度:手間がかからない
源泉徴収で税金の手続きが終わるため、確定申告をする必要がありません。配当金は「所得」に含まれないので、前年の所得をもとに金額が決まる住民税や、次のような公的な保険料の計算にも影響しないのが大きなメリットです。
・国民健康保険料:自営業やフリーランスの方、会社を退職した方などが加入する健康保険の保険料です。
・後期高齢者医療保険料:75歳以上の方が加入する医療保険の保険料です。
・介護保険料(65歳以上の方):住んでいる市区町村に納める介護保険の保険料で、所得に応じて段階的に金額が決まります。
なお、会社員の方が加入する会社の健康保険や厚生年金の保険料は給与をもとに決まるため、配当金の申告による影響はありません。特定口座(源泉徴収あり)で受け取っている方の多くは、この申告不要の方式です。
2. 総合課税:所得が低い方は税金が戻ることも
配当金を給与や年金などのほかの所得と合算して税金を計算する方式です。「配当控除」(課税所得1,000万円以下の部分は、所得税で配当の10%、住民税で2.8%)が使えるため、所得が少ない方は、差し引かれた税金の一部が戻ってくることがあります。一方で、所得が多い方は税率が上がり、かえって負担が増えることもあります。
3. 申告分離課税:売却損と相殺できる
ほかの所得とは分けて、20.315%の税率で計算する方式です。配当控除は使えませんが、株式などを売って出た損失と相殺(損益通算)できます。相殺しきれない損失は、翌年以降3年間繰り越すこともできます。株で損をした年は、この方式で税金が戻る可能性があります。
申告するときに気をつけたいこと
- 公的な保険料が上がることがある:総合課税や申告分離課税で申告すると、配当金が所得に含まれます。すると、所得をもとに計算される国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・65歳以上の方の介護保険料が翌年から上がることがあり、所得税が戻ってもトータルでは損になる場合があります。特に、国民健康保険に加入している方や、年金生活の方は注意が必要です。
- 扶養から外れることがある:配当金を申告して所得が増えると、配偶者控除や扶養控除の対象から外れてしまう場合があります。
- 住民税も同じ方式に:2024年度分の住民税からは、所得税と住民税で同じ課税方式を選ぶ決まりになりました。以前のように「所得税だけ申告して、住民税は申告不要」という使い分けはできなくなっています。
NISAなら配当金は非課税に
NISA口座で持っている株式の配当金は、税金がかかりません。ただし、配当金の受け取り方法を、証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。郵便で届く配当金領収証で受け取ると、NISAでも税金が差し引かれてしまうので、一度設定を確認しておきましょう。
今後の制度改正にも注意
2026年5月に成立した改正法により、これまで申告しなければ保険料の計算に含まれなかった配当金などの金融所得を、後期高齢者医療制度の保険料に反映させる見直しが決まりました。開始時期はこれから政令で決まりますが、2029年ごろからの開始が想定されています。国民健康保険などへの広がりも今後の議論になっており、配当金を受け取っている方は動きを確認しておきましょう。
まとめ:課税方式は「税金」と「保険料」の両方で考える
配当金の課税方式は、手間がかからない「申告不要」、所得が少ない方に有利なことがある「総合課税」、売却損と相殺できる「申告分離課税」の3つです。どれが得かは、所得の金額や社会保険の加入状況、扶養の有無によって変わります。「わが家の場合はどれがいい?」「NISAをもっと活用したい」と思ったら、ホームページのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
※本記事は2026年11月7日時点の情報に基づく一般的な解説です。上場株式の配当金を前提としています。個別の税務判断については、税理士または税務署にご確認ください。
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